SONYの3D対応有機ELヘッドマウントディスプレイ レビュー(HMZ-T1)
(2011/10/2)製品版のレビュー記事を追加しました。
1月にアメリカの家電市CESで参考展示され、西川善司氏の記事(AV watch,ブログ)でも大プッシュされていた機ELヘッドマウントディスプレイが銀座SONYビルで28日まで展示されています(参考)。
HMDが昔から気になっていた自分としては見に行かない手はありません。
スペックおさらい
今回のHMDのスペックは以下のとおり。
試作品なだけあって細かい仕様は不明ですが、ハイビジョン対応のHMDという時点でかなりレアな一品となっています。
既存のHMDだと、例えばVR920がVGA解像度で6万円するので、そのスペック差は非常に大きいと言えるでしょう。
クロストークゼロ!そしてコントラスト感に感動
HMDはソニービルの8階、イベントスペースに展示されていました。
その場に2台あり、2列に並ばされます(といっても待っている人は1人ぐらいでしたが)。
こちらが例のブツ。
試作品のため頭に固定する機能はなく、その場で手にとって顔に押し当てる必要があります。
レンズ部分はこんな感じ。
真ん中にあるダイヤルで両目のレンズの幅を調整できます。
さて、実際に視聴したのはバイオハザードIV アフターライフ IN 3D。
その感想ですが…
- 非常にコントラスト感のある映像。これまでの液晶HMDはどうしても黒浮きが目立っていたがこちらは皆無。
- 発色も見事。XEL-1を思い出す派手な色使い。3D視聴環境の頂点はIMAXシアターだと思っていたが、発色に関しては完全に凌駕している。
- 映画なのではっきりとは言えないが、残像も感じられず。
- 720pながら解像感に不満なし。逆にいえば、これがフルHDになったからといって画質の向上はあまり感じられなそうだ。
- 当たり前だがクロストークは一切現れない。これだけでも異次元の体験。
- さすがに大画面とは感じられない。penなどに搭載されている高精細な電子ファインダーに近い印象。
- 視度調整がついていないため、左右の視力に差がある自分はちょっと立体視に苦労した。製品版では是非つけてほしい。
とにかく見事な発色に感動した。
3Dテレビはもちろん、IMAXシアターと比較しても発色は遥かに上をいっている。
CELL REGZAがメガネを付けずに立体視できたらこんな画質だろうかとも思う。
一方、よくHMDで問題となるのが「大画面に見えない」という問題はこの製品でも感じられる。
西川氏は「2〜3メートル先に80〜100インチがある感じ」と形容しているが、自分はそこまで迫力を感じなかったのでやはり個人差がありそうだ。
こればっかりはソニービルで体験してもらった方が早いだろう。
HMDの意義を再考させられる革命的な一品
ソニーが民生用初のHMD「グラストロン」を1996年に発表してから15年。
そのような節目の年に、このような商品が参考展示とはいえ登場したのはとても嬉しいことだ。
しかし15年前のブラウン管テレビと違い、40型の3Dテレビが10万円をきる時代、価格やスペースだけではHMDを買う理由にならない。
そんな中、今後HMDが普及するには
- 持ち歩ける3Dハイビジョン
- クロストークフリーの超高画質
といった、新たな価値を前面に押し出すことになるでしょう。
これまでなかなか定着しなかったHMDだが、これを機にマーケティング的な意味でも新たな立ち位置を獲得してほしいものです。
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