SONY HMZ-T1発売記念『試作機レビュー』をおさらいする


CESで(一部の)話題を集め、銀座ソニービルで(一部に)喝采をあびたソニーの3D対応有機ELヘッドマウントディスプレイの商品化が発表されました。
型番は「HMZ-T1」。HMDの草分けグラストロンが「PLM-XX」だったので、型番自体は引き継がれませんでした。

まずはレビューのおさらい

今年初めにアメリカの家電市CESで参考展示され、2月には銀座SONYビルで参考展示がおこなわれました。

写真右が試作品、左が製品版です。
試作品は頭に固定する機能はなく、その場で手にとって顔に押し当てる必要がありました。
製品版ではおでこにあてるパッド、頭に固定するバンドが追加されています。
一方、耳の外側にあったSONYの青色に光るロゴはなくなっています。コストダウンのため?

←試作品 →製品版
レンズ部分はこんな感じでした。
試作品は真ん中にあるダイヤルで両目のレンズの幅を調整できますが、製品版では下側のスライドスイッチに変更されています。
当時視度調整機能がついておらず説明員の方にアピールしたが、残念ながら製品版にも実装されていないようです(スペック表にも記載なし)。

さて、試作品ではバイオハザードIV アフターライフ IN 3Dを試聴し、以下のような感想を残しています。

  • 非常にコントラスト感のある映像。これまでの液晶HMDはどうしても黒浮きが目立っていたがこちらは皆無。
  • 発色も見事。XEL-1を思い出す派手な色使い。3D視聴環境の頂点はIMAXシアターだと思っていたが、発色に関しては完全に凌駕している。
  • 映画なのではっきりとは言えないが、残像も感じられず。
  • 720pながら解像感に不満なし。逆にいえば、これがフルHDになったからといって画質の向上はあまり感じられなそうだ。
  • 当たり前だがクロストークは一切現れない。これだけでも異次元の体験。
  • さすがに大画面とは感じられない。penなどに搭載されている高精細な電子ファインダーに近い印象。
  • 視度調整がついていないため、左右の視力に差がある自分はちょっと立体視に苦労した。製品版では是非つけてほしい。

ソニーは今回『750型スクリーンを20mから見た映像』と表現していますが、西川善司氏は「2〜3メートル先に80〜100インチがある感じ」と形容してますし、自分の感想にいたっては「電子ファインダー」でした。
HMDを利用したことのある方にはおわかりでしょうが、HMDに大画面を望むのはお門違い。
大画面にしたいなら素直に大画面テレビかプロジェクターの導入をオススメします。

最大のライバルは3Dプロジェクター

さて、3D業界も2月時点とは大きく様変わりしています。

  • 4月に2万円台で買える3D液晶LG D2342P-PNが発売。
  • 7月に6万円台で買える720pプロジェクターH5360BDが発売
  • 40インチで7万円など3Dテレビのさらなる価格低下

ただ3Dというだけなら、液晶モニタやテレビ、大画面ならプロジェクターという選択肢がある中、あえて目が疲れるHMDを買う理由、それはやはりこれでしょう。


なぜヘッドマウントディスプレイを買うのか。
そこにヘッドマウントディスプレイがあるからだ。


※いや、設置性の良さとか、クロストークゼロとか他の理由もありますよ…一応。



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